レンダリングとは
迷い犬や猫、道で轢かれた動物などがどのようにして廃肉処理業者らによって回収され、
またこれらの原料がどのようにペットフードに使用されているかを詳細に報告しているあるジャーナリストの言葉とは。
■悪夢の取材
処理業者の工場の床には死んだ犬や猫、羊や豚、馬などの家畜の頭や蹄、スカンクやネズミ、アライグマなどが積み上げられ「原料」として処理を待っている。
90度の温度で処理されるこれらの死骸はそれ自体の生命を持っているように動いて見えるが、これは無数に発生したハエのせいでもある。
二重のバンダナでマスクをした作業員がボブキャット小型ブルドーザーで「原料」をすくい上げ、これを10フィートの深さのステンレス製の容器に投げ入れる。
彼らはメキシコからの不法労働者達であり、この誰もやりたがらない仕事を引き受けている。
容器の底にある巨大な螺旋カッターが回転を始め、骨が砕ける音や肉が削がれる音が聞こえてくるが、これはとても忘れることができない悪夢の中の音のようだ。
■レンダリング(Rendering:廃肉処理)とは
動物原料を調理して水分と脂肪分を分離する処理過程のことである。
レンダリング工場はいわば巨大な台所のようである。
この料理人は「シェフ」として一定の比率に従って、ペットや家畜の死骸、鶏ガラ、スーパーマーケットの廃棄品などを混ぜ合わせる。
これらのかたまりはある程度細かくなった後に、より細かく粉砕するために別の粉砕器に移され、今度は280度で1時間調理される。
これらの調理処理は1週間に7日、24時間ノンストップで行われ、熱い「スープ」のなかで肉は溶けて骨から分離される。この過程で「スープ」からは黄色のグリースや獣脂が表面に浮き上がってくるが、これはすくい取られる。
その後、この調理された骨と肉はプレス機にかけられて残りの水分を絞り落とされてから粉砕されて粗い粉になる。
そしてこの粉はふるいにかけられて大きめの骨のかけらや毛などが取り除かれる。
この工程が完了すると、そこには黄色いグリースと肉骨粉が出来上がっている。
あの狂牛病で騒ぎになった「肉骨粉」です。
■レンダリングの現状
このリサイクルされた肉骨粉は養鶏や養豚用の飼料に含まれるタンパク質その他の栄養素の原料となっているが、これはペットフードにおいても同様である。
これは、量は少ないものの牛や羊の飼料にも使われている。
毎日、アメリカ中の何百ものレンダリング工場からは何百万トンものこの「栄養補強飼料」が出荷されているが、その搬入先とは養鶏場、牛舎、酪農場、養豚場、魚の養殖場およびペットフード工場などである。
これらの搬入先ではそれぞれに他の飼料との配合が行われ、最後には人間が食べることになる生き物たちにも与えられている。
*レンダリングの側面
レンダリング工場は動物を最終的にリサイクルしているものであり、これはこの世界で重要な役割を担っていると言える。もし、レンダリングというものが無かったならば、我々の街は病原菌だらけの腐敗した死骸の山に埋め尽くされる危険があるからだ。
こうなったら致死性のウィルスやバクテリアが人々の間で猛威を振るうことになるだろう。
■利益追求のはてに
原料の供給をはるかに上回る需要がある飼料業界において、死というものは第一の必需品である。
しかし、この廃棄物管理を通して出来上がった手の込んだ飼料生産システムというものは、恐ろしいところまで進化してしまっている。
レンダリング工場は毒性の廃棄物を不可避的に処理してしまうのだ。
原料としての動物の死骸はありとあらゆる成分を含んでいる。
汚染された家畜や非合法のDDTが混入した魚油、魚によって吸収された有機リン酸系化合物などによって、いろいろな農薬がレンダリング工程に入り込む。
また、処理容器の中にはノミ取り首輪をつけたままの動物が投げ込まれるが、ここでも有機リン酸系の除虫剤が混入する。
そして、家畜に施された抗生物質が染み出し、ペットからは安楽死に使われた薬剤が溶け出してくる。
プラスティックの手綱でさえ容器に投げ込まれ、スーパーマーケットからはラップやスチロールの容器に包まれた賞味期限切れの肉や鶏肉、魚などが運び込まれる。
作業員は誰もこの何千もの廃棄された肉の梱包を剥がすような雑用をやっている暇などはない。
■レンダリングの犠牲
レンダリング業者というものは我々の食物連鎖のなかの暗黙のパートナーなのかも知れない。
だが、我々の食べ物の化学物質汚染は現実となっている。
政府機関と業界は怠慢では済まされないことを続けてきた。
スーパーの棚から有毒物質が我々の食物連鎖に入ることを許してきたのだ。
今では増大する複合汚染問題に曝される新しい時代に入ってしまった。
我々は環境の中に生かされている自分たちの立場というものを考え直さなければならないだろう。
ペットも人間も科学技術によって変質した食物連鎖の犠牲者となりつつあるのだから。
以上は、アメリカの報告であるが、ここからは食肉としては鶏や豚も牛と同じかそれ以上に危険なものとなっていることが想像できる。
また、養殖魚にも肉骨粉が与えられているという内容からは、アメリカやオーストラリアで行われている日本向けのマグロの養殖も危ないのではないかと思えてしまう。
しかもこれらの魚は生食されるのである。
肉骨粉で養殖された魚を食べて、肉骨粉入りのペットフードを食べたペットに頬ずりしているということだろうか。
もはや、ペットフードの問題だけではない。
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