グラミン銀行
日本人から見れば、グラミン銀行は小さな銀行だ。預金総額は71億タカ(約146億円)しかない。
数十兆円の預金総額を誇るメガバンクの1000分の1の規模である。
けれど「お金を貸して人の役に立つ」ことで利益を上げるという、本来銀行がやるべき仕事をきちんとやっている。
このことは、私たち日本人にも2つの大事なことを教えてくれる。
●金融システムの多様化。
既存のシステムは大企業など巨額の金だけのために動いている。
でも、貧しい人にお金を貸してきちんと返済してもらい、彼らを経済的に強化することで、社会全体を強くできる。
1997年にインドネシアやタイが金融危機に陥ったのは、ヘッジファンドが一度に資金を引き上げたことが原因。
普通の人の生活をよくするためには、グローバルな資金の流れとは切り離された、小規模で地域に密着した金融機関が必要。
●貧困を減らすには「援助」でなく「融資」が有効。
これまで主流だったのは、援助金や物資を送って貧困層を助けるという発想。
でも、他国から物や金をもらえると期待していては、いつまでたっても自立できない。
貧しい人々の生活を根本的に改善するには、自分の力で生活を支えられるように、起業の手助けや融資が必要。
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